紀南新聞 2008/7/25

西村記念館の保存支援 歴史的建造物を協働で残そう 民間団体が寄付の呼び掛け

 新宮市伊佐田町にある大正期の貴重な建築物「西村記念館」の老朽化が進んでいるとして、市民有志や地元出身者らがこのほど、歴史的建造物の保存の支援を目的に「西村記念館を守り伝える会」(小野俊二会長)を発足。会では、建物の修復費用の支援のため広く寄付を募る運動を始めた。

 同記念館は木造2階建て、延べ244平方メートル。同市出身で日本の近代建築と自由主義教育の先駆者として知られる西村伊作(1884−1963)が、大正4(1915)年に建築した自邸。

 長年、西村家によって一般に公開されていたが、平成10年12月に新宮市が建物(名義は西村伊作のまま)の寄贈を受けて、運営。同12年2月には、文化財保護法の規定により有形文化財に登録された。

 会では、伊作の住宅作家としての業績と、かつて多くの文化人たちの社交場であった歴史的建造物を後世に残す手段として、老朽化や地盤の沈下が進んでいる記念館の修復を支援することにした。

 集まった善意金は、市に修復費用の一部として渡す。会の世話役のひとり、筒井三輝朗さんは「市の新しい総合計画の中で市民と行政が同じ立場で行動する協働という基本理念がある。そして、政策目標に熊野文化の高揚と演出が掲げられている。この市民活動は、これらに通じると思う。多くの方に協力していただきたい」と呼び掛けている。募金は1口1千円。振込先は、新宮信用金庫本店、普通1053288(名義)西村記念館を守り伝える会、会長小野俊二。

 同記念館について、市教育委員会は「重要文化財の国指定を目指し、本年度から所有権の移転登記を進めていくが、どうなるかはまだわからない。(支援については)総合計画の協働そのもので、ありがたい」「記念館の設計図がないので専門家らによる調査委員会を立ち上げて、指導を得ながら文化的にふさわしい状態にするにはどういう復元方法があるのか探っているところ」と話した。

 会の世話役は次のみなさん。

 田中修司(西村伊作調査研究会会員)、辻本雄一(佐藤春夫記念館館長)、清島利典(映画監督・演出家)、緑将行(新宮高校同窓会長)、広田泰子(店主)、筒井三輝朗(会社役員)、矢口周美(歌手)、矢熊敏男(元新宮高校教諭)、国見一郎(新宮高校同窓会)、奥田展生(会社役員)、中植昌代(保育士)、沖崎吉信(新翔同窓会会長)、川嶋みどり(主婦)。連絡先電話番号は、筒井さん(23-2151)、矢熊さん(32-1274)、矢口さん(03-5626-1581、黒坂音楽工房内)。