南紀州新聞
毎日新聞080724 紀南新聞


西村伊作の旧邸守ろう 老朽化受け「守る会」発足

 和歌山県新宮市伊佐田町にある西村伊作(1884〜1963)の自邸「西村記念館」の老朽化が進んでいるのを受け、同市の市民有志らが保存活動をしようと、「西村記念館を守り伝える会」(小野俊二会長)を設立した。1口1000円で募金活動をしている。

 記念館は、文化学院(東京)の創立者である西村が設計した自邸で、1915年に完成。国の登録有形文化財に指定されている。2階建てで、延べ床面積は約246平方メートル。和洋折衷の設計で、居間を中心にした洋風の間取りは開放的な家庭生活を重視し、日本の近代住宅のモデルとなったとされる。また、多くの芸術家が集うサロンとして、歌人の与謝野夫妻や作家の佐藤春夫らと交流を深めた。

 建物は当時のまま保存され、西村が制作した絵画約100点や陶器約50点、愛用の机やいすなどの家具が展示されている。市が管理して一般公開しているが、壁にひびが入ったり、窓枠がゆがんだり老朽化が著しい。会は「保存のための最善の努力をすることが、後に託すためのわたしたちの使命。みんなの力を合わせればまだ間に合う」と訴える。

 会の世話役には、元高校教諭や映画監督、歌手らが名を連ね、募金は、市に託し、館の保存のために使ってもらう予定。市教委は「国の重要文化財登録を目指しており、こうした民間の応援は心強い」と話す。

 世話役メンバーの一人である会社役員の筒井三輝朗さんは「伊作の業績や生き方が詰まった館を次の世代に守り伝えたい。新宮だけでなく、できるだけ広範囲に協力をお願いしていきたい」と話している。会の連絡先は、筒井さん(0735・23・2151)。

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